芝居力向上WS体験談「エンターテイメントの価値と出会い」かほ(20代・女性)

芝居ワークショップ WS体験談

2023年1月期の芝居力向上WS体験談した、かほ(20代・女性)さんの体験談をいただきました。

かほさんの芝居や演技の歴

会社員俳優

 私は中学から高校の6年間演劇部で活動をし、それに並行して町民劇団にも所属をしていました。
中高と演劇を夢中に取り組んできたので、その時点で芸能の道に進みたいという気持ちはありました。

しかし自分の実力や現実を知るのが怖くて、逃げ道としてブライダルの専門に行くことに決めました。

 専門学校に行ってからはほぼ演劇と関わることなく、ブライダル関係の就職先を見つけ、プランナーという人生を本気で考えていました。
しかし舞台を観劇した時や制作のお手伝いをした時に、客席側にいる自分に感じることがありました。

私はなんでこっちにいるんだろう。本来ステージにいるはずなのに

こんな気持ちが毎回のようにぐるぐるして、次第に演劇から離れたくないという気持ちが大きくなりました。

今回の参加を決めた初動理由

役者初心者

ブライダルという仕事が嫌いだったわけではありません。
むしろ大好きです。

その魅力を理解をしている私が、それでも「やっぱり私は演劇が好きなんだ」という気持ちになった。女優になりたい。逃げてる暇はない。それは確信になりました。

 就職活動をバッサリと辞め、どう踏み出したらいいのかわからないまま配信アプリで配信をスタートしてみました。

そこで知り合った方の縁で酒井俊介さんのワークショップを紹介していただき、女優さんとして何か一歩踏み出したくて参加を決めました。

芝居力向上WSに参加して

芝居ワークショップ

ワークショップ参加に踏み出して

まず今回のワークショップを通して参加してよかったと思うことは”出会い”です。

配信アプリでの出会い、そしてこのワークショップに参加をしたことによって酒井さんという素晴らしい講師の方と出会い、更に俳優を目指すライバルであり仲間達との出会いには、とても感謝しています。
勇気を出して踏み出したことによって、とても素敵な出会いが沢山ありました。

右も左もわからず一人で悩んでいたことを共有し、親や友人ではなく同じ目的を持つ恩師や仲間との出会いは一生の宝物だと感じました。

ワークショップの内容

 次に内容ですが…常に衝撃の連続でした。
今回のワークショップの内でも「実感を持って嘘のないお芝居をする」という事は度々指摘されました。

私は演劇経験はあったものの、今回の内容は今までとは全く違う視点の指導の数々で、気づきや初体験、驚きと感動することがたくさんありました。

その中で私が特に印象が残っていることは

1.お客さんがエンターテイメントにお金を出す理由を考えてみる

2.実験を繰り返して「実体験」にすること

3.上手い俳優はアクターではなく「リ・アクター」

4.勇気を持って「おせっかい」をする

の4点です。

1. 『お客さんがエンターテイメントにお金を出す理由を考える』

芝居ワークショップ

社会の中でエンターテイメントがどんな役割を果たしているのか、存在意義みたいなものを改めて知ることができました。

人間は最低限の衣・食・住が有れば生きていけます。
それなのに何故、我々はエンターテイメントを必要とするのか。

このワークショップに参加してかなり納得の出来る答えを得ました。
(具体的な答えは、参加して体験してみてください)

私自身、「社会になくてはならない職業について必要とされたい」と感じた時期がありました。
そういう意味では俳優って居なくてもいいんじゃないかと思う時も過去にはありました。

その時期から、俳優をやりたいと思う自分と矛盾するように密かにずっと抱えてきた疑問、そんな過去の自分からの「本当に必要か?」という問いかけに、今回酒井さんが答えをくれた気がしました。

そしてエンターテイメントがなくてはならない職業だと再確認し、更に素敵なお仕事だと感じました。

2.『実験を繰り返して「実体験」にすること』

経験者には勝てない。これはものすごく納得をしたお話でした。
私の生きるポリシーとして”経験は何よりの財産”という考えがあります。

経験だけは誰も盗むことができません。
自分が今後の人生を歩み成長する上で、貯金が多ければ多いだけいいように、経験ってものすごく大事だと思っています。

しかし俳優は自分が、経験したことのない役や台詞をいうことの方が圧倒的に多い。
そりゃ自分より年上の俳優さんの方ができる役が多いに決まっています。

だからこそ今回教えて頂いた「経験者がどんな風な体験をしたのかイメージして実験を繰り返す。実験の数だけ、失敗体験と成功体験を得る。その体験達はやがて『体感』となり、身体と心に浸透し、そして実体験にまで持っていく」というワークはものすごく納得がいきました。

やっていてどんどん「あれ?私は経験者だったかな?」と自身が勘違いしてしまうくらいのリアルな実感を得ながらお芝居が出来るようになりました。

酒井さんのワークショップがすごいのが、そこまでの誘導がとても上手くて、参加者全員が気がついたら初めての感覚にたくさん連れて行ってもらえました。
あんなに感情解放できたの初めてです。

その初体験の数々が、新しい自分に出会えるようでワクワクして楽しかったのも参加して良かったと思えるポイントでした。

身を任せて楽しんで参加していたら、いつのまにか上手くなってた』という感じです。

今回のワークショップで自分の感情解放のMAXを体験をしたことによって、到達出来る基準みたいなのが測れた気がしました。
今後のレッスンやオーディションや更には現場などでも生かせる、貴重な体験でした。

今回参加してみて気がつきました。
正直これまでの私は”なんとなく形だけそれっぽい芝居”という曖昧な表現で満足してしまっていたなぁ改めて反省しました。

相手役や見ている人への配慮が足りてなかった。自分だけで満足していました。
今回参加することで自分自身の弱点や演技の癖が、どんどん浮き彫りになりました。

これから意識すべき課題を発見することもできて参加して本当に良かったです。

3.『上手い俳優はアクターではなく「リ・アクター」』

芝居ワークショップ

今まで、「この人演技上手いよね〜」とか「この人の演技好きだな」という会話って幾度となくしてきました。
じゃあその”演技が上手い”という定義はなんなのか?と酒井さんから問われたときに、考えたこともなかったことに気がつきました。

酒井さんのおっしゃっていた”良い役者はアクターではなくてリ・アクターだと思うんだよね。造語だけどね。”という言葉は、私の演劇概念を覆す衝撃を受けました。

「良いアクターは良いリアクションをできる人である」
なぜなら、
アクションする

それにリアクションする。

またそれにリアクションする…
これの繰り返しなので、良いアクションってそもそも何かのリアクション。

多分、今まで私が考えていた”演技が上手い”って抑揚、表情、トーンという「形から入る」表現方法のことを指していました。

そうではなく今回のワークショップでは、「相手からもらった刺激に対しての反応の精度が重要」ということを教えていただきました。

「自分がどんな顔でやるか?」でなく、「相手にどんな顔になってもらいたいか?」を考えながらやる。
少し意識するだけでも、その差は歴然でした。

そういう根本的なところから、自分の感覚を修正してもらい、向く方向性を補正されながらも、その都度的確に指導してもらえるのって本当に充実感がありました。
毎回新鮮でとても楽しく取り組むことができました。

4. 『勇気を持って「おせっかい」をする』その真意を知れた

そもそも我々は私生活では、人間関係のねじれを出来るだけ避けたいです。
その為、新しい人間関係を構築するのも面倒だなと思ってしまうことは、私だけでなく誰しもあると思います。

しかし、舞台やドラマや映画で採用されるシーンの多くは人間関係が変化する場面を描く事が多いです。例えば、ケンカや仲直り、告白や別れ…などなど。

それは何故か?

しかも我々は好んでそのシーンを食い入るようにみてしまう。

それはなぜなのか?答えは、

「普段見れない瞬間こそ、視聴者は見たいと感じるから」

これは今回のワークショップで得た抜群の納得フレーズでした。

「だからこそセリフって日常的に使いそうな言葉の中にも『少しおせっかいな』人間関係に関わるセリフのやりとりが多いんだよ」と指摘する酒井さん。
課題で頂いた複数の台本もそういう角度から見てみると確かに。

人間関係が変わるかも…という勇気を持たないとそもそも言えないセリフが多いことに気が付きました。
「相手の心に響く言い方をする為に、相手の人生に踏み込む勇気を持て。」という学びは私のセリフへの価値観を変えた瞬間でした。

「その為に芝居中は勇気を持っておせっかいをしにいく感覚が必要なんだよ。だって普段の私生活ではそのリスク背負うの嫌でしょ?」と言われてドキッとしました。

これって私自身、私生活では全くできていません。特に高校に入ってからは。
できれば相手の人生に踏み込みたくないし、絶対必要というわけでなければ極力人と接触をしたくないくらい、普段の私ができないことでした。

ここは私の苦手分野で、これを乗り越えるのにとても時間と神経を使ったような気がしますが、最終的には最初よりもかなり踏み込めるようになったと思います。 

▼普段

嫌われないように無難に振る舞う = 相手に本音を見せたら嫌われると思ってる(信頼してない)

▼芝居

嫌われる勇気を持つ = 相手を信頼する。

私は恥ずかしながら相手を信頼するまでかなり時間のかかるタイプです。
普段の私が演技に影響を与えているとは…!

しかしその弱点もしっかり把握できて意識をすることができました。
完全にできるようになったわけではないけど、そのことを意識するという入り口に立てたこと自体がものすごく大きな収穫だと思っています。

芝居は相手のために。
作品を共に良くするために、他者と関わりに行くことが大切ということを教えていただきました。

これからは、セリフ中くらいは勇気を持って「おせっかい」をする感覚を大切にしようと強く思いました。

芝居力向上WSについてのまとめ

芝居ワークショップ

今回の約1ヶ月のワークショップで私が得たことを大きくまとめるなら、

1演技をする上での大切な心構え

2やっぱり自分は表現の世界が大好きだということ

に気が付けたことです。

今までは、「このセリフの雰囲気だったらこの立ち位置が望ましい、このトーンなら…」というように見え方の分析を中心に考え『外側』から創作してきました。

なんでここで泣くのか、叫ぶのか、笑うのか、形だけに囚われてその役がなんの刺激に対してその反応をしたのかという感情の部分に関しては全く意識していませんでした。反省です。

しかし今回のワークショップでは、『内側』から創作する大切さを丁寧に教えてくれました。

酒井さんはそれを人間の本質的な五感や性質から見つめ、お客さんや相手役の立場になって分析をした結果「こういう反応になるよね?それならこうしたらどう?」という根拠を持った、説明をしながら、その表現に至るプロセスを実演しながらわかりやすく説明し、体験させてくれました。

今回「演技や作品は自分一人で作れるものではない」という初歩的なことを改めて教えてくださり、私の演劇人生の良い再スタートが出来ました。とても感謝しております。

お客さんを共感に巻き込むこと、仲間と見たい景色を一緒に見に行く楽しさ、そしてエンターテイメントという素晴らしい夢を提供するお仕事がますます好きになりました。

“好き”って大事な感情だと思うんです。

今回のワークショップを通して私の”好き”を再認識できました。

これって、今後もしもこの道で辛く厳しい時があったとしても、追い続けるために必須の財産を手に入れたのと同等だと思います。

単純な言葉ですが、これこそが追い続ける為には核心の部分なのではないかなと思います。

それに気づかせていただいた、講師の酒井さん、プロデューサーさんをはじめ、今回一緒に参加した皆さんには本当に感謝しかありません。

出会って頂きありがとうございます。

はじめはちょっとしたきっかけだと思って参加しましたが、結果こんな素敵な出会いに恵まれて本当に幸せです。

ありがとうございました。

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